5 挿絵画家としての活躍

吉川英治の「宮本武蔵」はよく知られています。その挿絵を担当したのが。石井鶴三です。この挿絵と相まってこの小説は大評判になりました。

中里介山作「大菩薩峠」、直木三十五作「南国太平記」、子母澤寛作「国定忠治」「父子鷹」など、新聞や小説の挿絵を多数描く。挿絵の第一人者といっていいでしょう。

中里介山作「大菩薩峠」の挿絵では、「挿絵は小説の複製であるので、その著作権は小説家にある。」「挿絵は画家の画心の働きによる創造制作であるので、当然著作権は画家にある。」著作権問題として社会的に大きな反響をよびました。挿絵の著作権が画家の物であることが認められたのです。これが、社会的に低く思われていた挿絵や挿絵画家の関心や評価を高める原動力になりました。

 sasie1「父子鷹」より

sasie2「父子鷹」より

当美術資料室には、挿絵の集大成、新聞小説の挿絵として最後の子母澤寛作「父子鷹」の原画450点を収蔵、その中から展示しています。  吉川英治は、「鶴三氏の挿絵のみは小説から切り離しても画の生命を見失うような恐れがない。個々に鑑賞しても立派に独立して画格と創意とを備えている」と言っています。

じっくりその筆の跡を味わってみてください。